2024.04.04
【職業紹介】言語聴覚士
『言語聴覚士』という言葉を聞いたことがあるという方は少なくないでしょう。
しかし、言語聴覚士は何をする人なのかと聞かれたら答えることのできる人は一気に減るのではないでしょうか?
今回は、「話すこと」「聞くこと」「食べること」に関するスペシャリスト『言語聴覚士』についてわかりやすく解説していきます💡
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そもそも『言語聴覚士』とは
言語聴覚士は『言語聴覚士法』によって以下のように定義されています。
音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者
つまり、言語聴覚士は言葉によるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるように支援する専門職です🤲
言葉によるコミュニケーションの問題は脳卒中後の失語症、聴覚障害、ことばの発達の遅れ、声や発音の障害など多岐に渡ります。小児から高齢者まで幅広く現れるのが特徴です。
言語聴覚士にはこのような問題の本質や発言メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、その他の援助を行います。
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言語聴覚士の仕事内容
①摂食・嚥下の訓練
食べ物の飲み込みがうまくいかず、口からこぼれてしまったり、むせてしまったりする人の原因を調べ、対処を行います。
通常、飲み込みは人間の反射によって行われますが、脳の障害などが起きるとうまくできなくなります。そのため、反射を高めるための訓練を行います。
②成人言語・認知の訓練
大人の言語障害は、認知症や脳梗塞、交通事故などが原因で起こることが大半です。そのため、言葉にしたくてもできない、表現できないということが起こります。患者さんが自分の思いを言葉にできるよう、リハビリテーションのプログラムを組み立てて、機能訓練やリハビリを行います。
③発声・発語の訓練
失語症・構音障害・音声障害・高次脳機能障害になってしまった方の障害の内容を観察し、原因を加味して発話の訓練を行います。
社会生活への復帰が目的の訓練です。
④小児言語・認知の訓練
子どもの言葉の遅れに対して、絵本を見せて言葉を引き出したり、文字の習得ができるように指導を行なったりします。また家族や教育機関と連携し、子どもの周辺環境を整える役割も担っています。
⑤聴覚の支援
聴覚障害は生まれつきの場合と、事故や高齢化などで後天的に起こる場合があります、言語聴覚士は聴覚検査やヒアリングを通して患者の障害について調べ、言語の訓練をしていきます。補聴器や人工内耳の調整などを行うこともあります。
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認知機能の障害への対応
『認知機能』とは、知覚や記憶、思考、感情、判断、学習といった社会生活に適応するにあたって必要な機能の総称です。
特に「高次脳機能障害」は認知機能を妨げる代表的な障害です。
言語聴覚士が関わる分野には、高次脳機能(知能機能)、コミュニケーション、摂食、嚥下障害などがあり、それぞれの評価と訓練・指導と多岐に渡ります。
言語聴覚士は総合的な知識を持つからこそ、認知症への対応が可能です。
例えば、失語症と構音障害に対するアプローチが違うことは言語聴覚士にとっては当たり前のことですが、患者さんの家族には理解が難しく、不安に感じてしまいます。認知機能に障害を持つ方やその家族のサポートも言語聴覚士の役割であり、認知障害に関する評価、機能訓練も行います。
そして社会生活や家庭生活へ復帰することを支援していきます✨
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小児のリハビリにおける言語聴覚士の役割
大きくわけて
○「ことば」言語発達障害や構音障害等
○「きこえ」声や音が聞き取りにくい等
○「食べる」食べ物をしっかり噛んで食べられない等の摂食・嚥下障害
において障害を抱えた小児を対象としてサポート、リハビリをするのが主な役割です。
お子さんの抱える症状の原因を探り、検査などをしながら個別に訓練プログラムを考えていきます。
例えば、お子さんによって絵を使って言葉を引き出したり、口の体操をしたりなどの訓練を行なっていきます。
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『言語聴覚士』『理学療法士』『作業療法士』の違い
言語聴覚士、理学療法士、作業療法士は患者さんのリハビリテーションのサポートを行う点においては共通していますが、サポート内容がそれぞれで異なります。
言語聴覚士は話すことや食べること、聞くことなどで障害や悩みを抱えている人に対してケアを行います。一方、理学療法士は歩く、食べる、座るなどの日常生活で基本となる身体機能のリハビリテーション、作業療法士の場合は理学療法で回復した患者さんを対象としており、社会復帰のための応用動作の回復を目的としています。
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言語聴覚士の主な活動フィールド
介護老人保健施設
要介護度1以上の高齢者を対象とし、在宅復帰を前提にリハビリや医療、介護を行う施設です。
言語聴覚士は、利用者の在宅復帰を目指して、言語障害・聴覚障害・摂食や嚥下生涯に対するリハビリを行います。また、コミュニケーション障害がある方に対しては、入所中に適切な言語刺激を与える配慮と工夫も行われます。
特別養護老人ホーム
要介護度3以上の高齢者が対象で、基本的に終身利用を前提とした施設です。
「介護老人保健施設」と同様、摂食・嚥下障害に対する評価と訓練を中心に行います。口腔体操や歌唱などのリハビリによって誤嚥性肺炎などのリスクを抑えつつ美味しく食事を摂ることができるようにサポートします。
デイサービスセンター
介護認定を受けている方が自宅から通う形でリハビリを受ける施設です。心身機能の維持・回復や退院直後であれば在宅生活へ移行するための支援を担います。
デイサービスセンターには医師が常駐しており、看護師、理学療法士や作業療法士などと連携しながら支援が実施されます。なお、介護保険も適用範囲です。
言語聴覚士は、機能訓練を個別や集団で実施します。嚥下やコミュニケーションに関する個別の評価と訓練、集団でのレクリエーションや口腔体操などが基本的な業務です。ケアマネージャーとミーティングするなど、他職種との連携をとりながら業務をし、カルテや書類作成なども行っています。
医療機関
医療機関で働く言語聴覚士は、総合病院の回復期病棟やリハビリテーション科、耳鼻咽頭科、口腔外科など様々な場所で活躍しています。
急性期、回復期、維持期といった段階によって支援内容が異なります。対象者一人一人に適した方法でリハビリを行い、社会復帰をめざします。
特別支援教室などの教育機関
小児分野では、聴覚障害、声・発声の障害、飲み込みの問題、言葉の発達が遅れているといった問題を抱える子どもが支援対象です。言語聴覚士は検査・評価を通して問題の原因を突き止め、適切な訓練と指導、アドバイスを行います。
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最後に
言語聴覚士は、話す・聞く・食べる といった機能に問題が生じている方に対して、評価や訓練を行うリハビリの専門家です。介護老人施設やデイサービスセンターといった介護施設や医療機関などで、利用者の状態と目標に応じたサービスを提供しています。
加齢や認知症によって言語や嚥下機能などに問題が生じてしまった際には、状況に応じて介護施設や医療機関を通じて言語聴覚士のサポートを受けることが可能です。
また、医師の指示書があれば、訪問リハビリテーションとして自宅で機能訓練を受けることも可能です。今回紹介したように聴覚や発声などにお悩みの方はぜひ一度サン・サンケアへご相談ください🌷
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