2023.07.05
【NEWS】「老老介護」過去最高の63%に
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7月4日厚生労働省が発表した、2022年国民生活基礎調査の結果によると、同居の家族らによる介護では、介護を受ける人と世話をする人がともに65歳以上の「老老介護」が63.5%に達し、前回2019年の調査から3.8%上昇、調査が始まった2001年以降、過去最高を更新しました。
(⇩厚生労働省HP 資料より抜粋:調査は3年に1度実施中)
上のグラフの通り、老老介護の内、75歳以上の後期高齢者同士の割合は35.7%で、前回調査より2.6%上昇し、人口の多い「団塊の世代」(1947(昭和22)~1949(昭和24)年生まれ)が後期高齢者になり、老々介護はさらに増える見通しです。
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老老介護のリスク
◆介護者の身体的負担が大きい
老老介護では、介護者自身も高齢のため、体力も低下しており、要介助者を移動させるだけでも体力が必要で体への負担も大きく、老老介護の場合は、特に腰痛などに悩まされることも少なくありません。
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特に排せつや入浴、移動・移乗の介助は日常的に頻度が高いため、介護者の体力を消耗します。要介護者の状態によっては昼夜を問わず介助が必要なこともあり、介護者は休息や睡眠を十分にとることができない可能性もあります。
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◆事故につながる可能性が高い
介護者の体力が低下していると、移動や移乗、排せつ介助などの際に要介護者の体を支えきれず、転倒や落下などの事故につながるリスクが高くなります。介護者にもともと腰痛やひざ痛など体に痛みがある場合はさらに危険は高まり、介護者自身が大きなケガを負う危険性もあります。
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◆介護者の健康にも悪影響がある
老老介護では介護者自身に疾患や持病があることも多く、体調が優れなくても自分の受診は先延ばしにする、介護に追われて薬を飲み忘れる、通院を中断するなどのケースもあります。
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また、介護以外の日常的な家事仕事のために疲労が溜まったり、十分な休息や睡眠時間が確保できなかったり、食事がおろそかになるなど、介護者の健康状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
介護者が病気やケガで介護が必要になってしまえば、共倒れする可能性も高くなります。
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◆精神的負担が大きい
身体的負担に加え、さらに大きいのが精神的負担です。日常生活すべてをフォローすることは精神的にも疲れます。
介護に時間が取られるようになると外出もままならなくなり、相談相手もいなくなり、社会とのつながりが希薄になる傾向があり、社会との接点が減少すると、介護者自身が認知症を発症するリスクも高まります。
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また、社会との接点が減少することで、悩みを一人で抱えることとなり、ストレスもたまっていきます。
ストレスがたまると、そのはけ口を介護される方に向けてしまい虐待につながるリスクが高まったり、追い詰められた結果、介護うつを発症したり、自殺を引き起こす可能性も秘めています。
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◆性別による問題の発生
ご夫婦のうち妻が介護される場合、夫は介護はできても家事全般は全くできないというケースが考えられます。逆に夫が介護される場合、妻は家事ができても夫を介助する力がないというケースが考えられ、性別による問題がリスクとして発生します。
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◆社会的風潮を原因とする問題
日本ではいまでも「介護は家族の責任」「介護は家族や身内で行うもの」だという価値観を持っている人も多く、さらに「他人に介護されるのはイヤ」という方もいます。介護する方は家に縛られ続け、社会から孤立してしまい、介助者への負担を増やしているという一面もあります。
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老老介護の問題は誰もが当事者になりうる可能性があるのです。
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次回は、老老介護を防ぐための方法や、サン・サンケアにできることについて投稿予定です!